■１番人気・１着■　紅梅Ｓ２着やフィリーズＲ４着と３歳世代短距離路線で好走歴のある素質馬も、前走は４コーナーで後肢を滑らせバランスを崩して落馬し競争中止のアクシデント。今回は古馬混合戦での仕切り直しの一戦であったが、ポテンシャルが抜けていたと感じさせる圧勝劇を見せた。1400ｍ戦での好走歴はあるもののアドマイヤムーン産駒らしい1200ｍ戦でデビュー勝ちと短距離適性を見せ、前走競争中止に引き続き1200ｍ戦に参戦。好スタートから内枠の馬を行かせて２番手を追走し、小回りコースらしい前傾ラップも逃げ馬をピッタリとマークする素晴らしい追走力を見せ、４コーナー手前では早くも逃げ馬を交わして先頭に立って直線を向かえる。後続も迫ってきていたが鞍上の追い出しにしっかりと反応して後続を引き離し、先行勢が飲み込まれるなか２馬身半差を付けて圧勝した。２Ｆ目の10.4秒から一度も加速ラップのない前傾ラップを楽に押し切り、人気薄の差し馬が２･３着している内容からもスピードと持続力で他馬を圧倒していた印象である。１勝クラスでは能力が違っており、クラスが上がっても十分通用するのは確かで、アクシデント明けの一戦を快勝した走りから今後の快進撃が期待出来そうだ。レース後に早くもケア放牧に出されたようであるが、今後の条件戦連勝に期待し動向に注目していきたい。

■６番人気・４着■　３歳重賞ながら実績馬が苦戦傾向のハンデ重賞で波乱の起きやすいレースであるが、今年も軽ハンデの人気薄が好走し高配当を演出した。トップハンデのフクノブルーレイク以外は重賞実績がなく今年も低レベルの重賞となったが、際立つ末脚で４着まで追い上げたビーオンザカバーに注目する。互角のスタートを切るも行き脚が付かず１コーナーは馬群から離れた最後方を追走。鞍上の田辺騎手はじっくり脚を溜めて直線勝負に徹する構えで、向こう正面に入ってもポツンと最後方待機。道中大きく緩む事なく流れながら、高速馬場でラスト４Ｆは全て11秒台後半と厳しい展開となる。内有利の傾向通り内を回って直線インを突いた１･２着馬と、４コーナー手前から早めに外を踏んだ３着馬に対し、直線を向いた時点でもまだ最後方で馬群から脚を伸ばし、ゴール前は大外から一気の末脚を見せた内容は見所十分であった。ゴール前の脚は際立っており、上り最速の34.4秒はポテンシャルの高さを感じさせている。気性的に敏感な面があって道中の立ち回りに課題が残る現状であるが、新潟コースでの直線一気や中山コースでの先行抜け出しと、異なる舞台で幅のある戦法での好走歴は見逃せない。今回は自身最速の上りを小回りコースでマークしており、キレ味も発揮して今後に繋がる一戦になったと感じさせた。今後も舞台や展開を問わず上位争いに期待出来そうだ。

■10番人気・１着■　開催最終週から施行時期が早まり馬場悪化前に行われた函館記念は、サッカーボーイが記録したコースレコードを37年ぶりに更新する高速決着も、馬場の変動に関係なく今年も大波乱となった。以前次回狙える馬として取り上げていた14番人気のマイネルメモリーの３着激走もあったが、重賞初勝利を飾ったヴェローチェエラに今後の躍進が期待出来そうだ。３歳時はクラシック路線に乗れず実績は京都新聞杯３着のみであったが、その後の条件戦３連勝で底を見せないままオープン入りし、重賞でも上位人気を集めていた。条件戦はスローになりやすく2400ｍ戦で連勝したが、重賞となるとペースが流れラストやや失速する結果が続き、やや距離が長い印象を受けていた。今回は2000ｍに距離短縮されての滞在競馬と変身の余地を十分残していたが10番人気と一気の人気落ちとなっていた。レースは前半からペースが流れ中盤も大きく緩まない総合力勝負となったが、後方追走から３コーナー過ぎに早めにスパートを開始し、４コーナー先頭からラスト12.1-11.7-11.6秒の加速ラップで突き抜ける強い競馬。佐々木騎手の強気なレース運びも光ったが、2000ｍへの距離短縮がレコード決着での重賞初制覇の大きな勝因と考えられる。期待される素質馬が賞金加算に成功し、秋を見据えた中距離路線での躍進に期待出来そうだ。